2017年3月27日月曜日

夏営地をジオラマで再現

今回の企画展ではパネルを使って説明するだけでなく、現地の様子をジオラマでも再現してみました。展示室で常時上映していた映像作品『チベット牧畜民の一日』と見比べるなどして、多くの方に楽しんでいただきました。

チベット牧畜研究チームが毎年お世話になっているご家族の夏の営地(キャンプ地)がモデルです。


現地で撮影したパノラマ写真もパネルにして見比べられるようにしました。


手前はヒツジ囲い。300頭程度のヒツジを飼っているお宅です。右奥は家族がみんな集まるメインのテントです。白い帆布製のテントです。中央には鉄製のストーブがしつらえられています。左側は十年ほど前に家族総出で建てたという土造りの小屋です。ここには内かまどと外かまどがあり、土造りのベッドもあります。バターやチーズなどはこちらに貯蔵されています。中央のテントは若い人や客人などが使うテントです。こちらも帆布製で、少し小さめです。


窓や屋根の細かいところまで再現されています。屋根にぽわぽわと生えているのは野生のニンニクなどです。紫色の可憐な花を付けるのですが、匂いはまさにニンニク。詰んで食事に使ったりします。

 

手前は乳しぼりをするためのヤクのつなぎ場です。ここには母子のヤクのペアをつなぎます。その他のヤクは囲いの中に入れておかれます。写真の乳しぼりの女性は本展のポスターの女性と同じですね! 左の土の山のように見えるのは、ヤクの糞の山です。糞は乾燥させて燃料にします。乾燥したもは山にして、ビニールシートをかけ、さらにその上から糞で塗り固めて濡れるのを防ぎます。


このジオラマを作ってくれたのはアジア・アフリカ言語文化研究所で西夏語の研究をしている荒川慎太郎さんです。プラモデル作りが趣味だそうですが、ジオラマには初挑戦だったそうで、いろいろ苦労しながら工夫を重ねて完成させてくれました。ありがとう、荒川さん!