2017年3月30日木曜日

企画展パネルその8 乳をしぼる

企画展パネルを再現する第8弾は乳しぼりの話です。乳しぼりも女性の仕事です。夏は朝と晩の二回しぼります。調査で訪れているお宅では、チベット服をきちんと着込み(普段は若い人はジーンズ姿です)、マスクをつけて、お湯で手をよく洗い、乳しぼりに臨みます。

* * *

འོ་མ། ミルク
乳しぼりは牧畜生活の根幹となる作業です。仔畜のためのミルクを横取りすることで、家畜を殺すことなく継続的に人間のための食料を得ることが可能になるのです。




母ヤクと仔ヤクは、放牧に出ている時以外は、地面に張ったロープに向かい合わせに繋がれています。

母ヤクたち。手前に仔ヤクがいます。

放牧から先に戻ってきた仔ヤクが繋がれているところ。

乳しぼりをする前に、仔ヤクに軽く乳を吸わせます。そうすると乳が出やすくなります。これを催乳といいます。その後、仔ヤクを引き離して母ヤクのそばに杭を刺し、そこにロープでつないでおきます。腰から下げているフックのようなものは乳しぼり用の桶をひっかけるのに使う道具です。ラムチャルといいます。


今度は人間の分のミルクを5分ほどかけてしぼります。しぼる時は優しく穏やかな声で歌うようにしています。乳の出がよくなるのだそうです。


乳しぼりを終えたら、仔ヤクのロープをはずして、仔ヤクにもう一度吸わせます。仔ヤクはロープを外されるや一目散に母ヤクのもとに走っていきます。